先代小さんの弟子は40人…「僕が最後の直弟子でした」
現在、花緑の弟子は見習いを入れて11人いる。
「自分がこんなに大勢の弟子を持つなんて思いもよらなかった。初めての弟子は28歳の時で、小さんに『教えることは学ぶことだ』と言われて取りました。一番弟子と二番弟子は辞めたり辞めてもらったりして、もうおりません。弟子入りを断ったこともあります。その結果、今11人になってわかったのは、『弟子は師匠なり』ということです。さっきの小さんの言葉に通じるのですが、弟子に稽古をつけると、噺の中に新しい発見がある。教えながら自分も勉強してるんですね」
先代小さんには40人の弟子がいた。それだけ学んだことも多いわけだ。
「その通りです。40人の弟子に研がれ磨かれて、落語家初の人間国宝になったのです」
小さんは弟子全員を真打ちにした。たいていは師匠の没後に二つ目の弟子が数人残されるものだが、珍しいケースである。
「僕が最後の直弟子でした。小さんのおかみさん役を務めていた母が、師匠の年齢を考えて、もう取らないでくれと頼んだみたいです」