大橋巨泉さんにハワイまで連れていかれた俺の役目とは?
話は巨泉さんのハワイ島の別荘の庭先に突然ワープするのだが、「ウッシッシ、ダンカンこれだよ! コレ!!」と巨泉さんから渡されたのは黒くドッシリとした双眼鏡であった。
「ウッシッシ、この庭の端から海をこの双眼鏡でずーっと見てればいいから! ウッシッシ~」「何を見るんですか」「ホエールだよ! ウッシッシ~鯨!! 鯨が海面を飛ぶんだぞウッシッシ~、鯨が現れたら声をかけてくれー!! オレはヘイちゃん(石坂さん)たちと麻雀やってるから、鯨が現れたらみんなでホエールウオッチングだよ、ウッシッシー、じゃ頼むぞ」と巨泉さんは別荘の中へと鼻歌交じりで戻っていったのだった。
それから、双眼鏡を両手で握りしめた俺は、もう38度線を守る韓国と北朝鮮の兵士のごとく、まばたき一つしないように大海と長い長いにらめっこの時間を過ごすこととなったのである。
その必死さと言ったら言葉では言い尽くせないものがあった。何しろ別荘の中で麻雀をしている一流有名人が鯨を! しかも、だれもが憧れるこのハワイの海でホエールウオッチングできるか否かがこの俺の両目にかかっているのだから。30分経過……波は静かだ……。1時間経過……船一つ浮かんでいない……。1時間半経過……眼精疲労か?海と空の境界線が定かでなくなる……。