若村麻由美が“代役”主演「この素晴らしき世界」は今期ドラマのダークホース!
ドラマでも映画でも、代役を務めるのは楽ではない。元々他の俳優のために用意された役柄だ。うまく演じても「穴埋め」といわれ、失敗すればキャリアに傷がつく。
ましてや「この素晴らしき世界」(フジテレビ系)の場合は主役だ。体調不良で降板した鈴木京香の代わりが若村麻由美と聞いて、「よく引き受けたなあ」と感心した。
主人公はパート主婦の浜岡妙子(若村)。ある日、芸能事務所から驚きの依頼を受ける。看板女優・若菜絹代(若村の二役)のスキャンダルが発覚し、謝罪会見を開きたい。しかし本人はアメリカへと遁走。姿形がそっくりの妙子に代役となって欲しいというのだ。報酬は300万円。一度だけのつもりで会見を乗り切ったが、事務所は妙子を手放そうとせず……。
■堂々たる主演ぶり
まず、若村の堂々たる主演ぶりが目を引く。平凡な主婦、大物女優、さらに“女優になりすました主婦”という3態を見事に演じ分けているのだ。中でも、無理だったはずのなりすましや異世界だった芸能界に、かすかな快感を覚えて戸惑う妙子の表現など、若村自身が代役とはとても思えない。
このドラマはオリジナル作品であり、妙子同様見る側も先が読めないところがミソだ。しかも「烏丸マル太」と称する脚本家の正体は不明。これまた誰かの“なりすまし”なのか、“代役”なのか。今期ドラマのダークホース的な一本となった。