「秀山祭」吉右衛門三回忌追善 松本白鸚の22分“ひとり芝居”に「到達点」を見た

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 初代吉右衛門をしのぶ秀山祭が2代目吉右衛門三回忌追善。先月は歌舞伎らしくない歌舞伎が多かったせいもあり、歌舞伎を見たぞ、という気分にさせてくれる。しかし残念ながら、大入りとはなっていない。これも現実。

 昼の部は最後の「二条城の清正」が圧巻。二条城での家康との対面が終わり、秀頼と清正が大坂城へ帰る船の場面だけの22分の芝居。

 その22分も、最初から最後まで、松本白鸚演じる清正が座って話すだけである。ところどころ、市川染五郎演じる秀頼などのセリフもあるが、白鸚のひとり芝居に近い。

 亡き秀吉への思い、ついさっきまでの家康との対面での秀頼の立派さ、そして豊臣家の将来への不安と、過去・現在・未来が、白鸚の朗々たるセリフ術で描かれる。

 今回は上演されていないのに、二条城での対面の場面も見たような錯覚すら覚える。白鸚の到達点を見た。

■松本幸四郎の「土蜘」はポスター写真のほうがいい

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