著者のコラム一覧
渡邉寧久演芸評論家・エンタメライター

新聞社文化部記者、テレビ局ウェブサイト芸能デスクなどを経て演芸評論家・エンタメライターに。東京新聞に「渡辺寧久の推し芸人」などを連載中。文化庁芸術選奨の選考委員、国立劇場専門委員、浅草芸能大賞専門審査委員などを歴任。台東区主催の芸術イベント「江戸まちたいとう芸楽祭」(名誉顧問ビートたけし)の実行委員長を務める。2024年夏から、新宿2丁目のミニ演芸場「シン・道楽亭」の運営にも携わっている。

古今亭佑輔は「悪女の佑輔」とは裏腹の“落語マッチョ”

公開日: 更新日:

古今亭佑輔

 イキのいい二つ目がひしめきあう落語界。なかでも飛びっきりの5人を演芸評論家の渡邉寧久氏が厳選。聞いて損なし! 見て感激!未来の大名人たちよ!

  ◇  ◇  ◇

 人間国宝に認定された講談師・一龍斎貞水は「怪談の貞水」という呼称が似合った。今、落語界で「悪女の〇〇」と呼びたい芸人がいる。

 古今亭佑輔(30)だ。

「悪女の佑輔」と言っていいほど、悪い女をしゃべるときの佑輔は、短刀のような切れ味を見せつける。大好きなホラー映画や小泉八雲の怪談の世界観を体の奥深くに染み込ませ、悪い女がきらめく落語「鰍沢」や「もう半分」などで、佑輔は地金をのぞかせる。

「ドロドロした噺が大好きなんです」

 そんな思いが高じて、遊女の悲しみと呪いを描いた怪談噺「寝子」を自作し、高い評価を得た。「日本全国に怪談噺や怖い言い伝えがありますから、それを落語にしたいですね」。ビジョンは明確だ。クールで華奢な見かけとは裏腹に、“落語マッチョ”である。「体力がなくて疲れちゃうと、お客さまに噺が届かない」と鞭を入れ、毎朝のランニングに週に2、3回の筋トレを自らに課す。時間が許す限り、午前中に3~4時間の稽古を欠かさない。その取り組みが昨今、佑輔の落語の幹を極太にした。見違えるほど明らかに、だ。

【連載】令和7年巳年 落語界気鋭の二つ目

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    藤井風“エグい”と話題のNHK紅白「NY生中継」の驚きの金額 5分30秒の放送に受信料大盤振る舞い

  2. 2

    中居正広「申し訳ございません」ついに謝罪もSMAP再結成は雲散霧消…元リーダーが“終止符”を打つ皮肉

  3. 3

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 4

    元バレー日本代表・狩野舞子が女性から総スカン…度重なる“匂わせ”でジャニオタまで敵に

  5. 5

    中居正広“9000万円トラブル”で番組窮地…「今でも許せない」告発女性が反撃の狼煙

  1. 6

    真田広之「SHOGUN」→松平健「暴れん坊将軍」新作で加速…時代劇の復興は"真の殺陣力”で決まる

  2. 7

    吉田鈴(20歳・1年目)“一卵性姉妹”の姉に追いつき追い越せ

  3. 8

    木村拓哉の"身長サバ読み疑惑"が今春再燃した背景 すべての発端は故・メリー喜多川副社長の思いつき

  4. 9

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  5. 10

    小沢一敬&渡邊センスと組んで勝算は? 松本人志「月額制独自プラットフォーム」に滲むプライド