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ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「松本人志とお笑いとテレビ」(中央公論新社)などがある。

真空ジェシカは圧倒的センスで媚びない笑いを貫くお笑いアーティストだ

公開日: 更新日:

真空ジェシカ

 昨年末の漫才コンテスト「M-1グランプリ2024」で3位に食い込んだ真空ジェシカは、4年連続の決勝進出という偉業を成し遂げた。年々レベルが上がり続けるこの大会で、4度続けて決勝に上がるのは並大抵のことではない。

 しかし、その立派な戦績とは裏腹に、川北茂澄(写真右)とガク(同左)の2人から成る真空ジェシカの本来の芸風には安定感のかけらもない。

 バラエティー番組に出ても、ボケ担当の川北が空気を読まず好き勝手にボケを連発して場をしらけさせることも珍しくない。そんな彼らは持ち前の圧倒的なセンスだけを武器にしてここまで戦ってきた。

 2人は大学生の頃にコンビを結成した。当時から川北のセンスは際立っていて、アマチュアでありながらピン芸人の大会「R-1ぐらんぷり」で準決勝まで進んだこともあった。コンビを組んですぐにネタ番組にも出演することができて、彼らは若手の注目株として一時的に脚光を浴びた。

 しかし、どんなときにも自分たちのやりたいことだけを貫くスタイルがなかなか理解されず、ブレークには至らなかった。観客に合わせるような姿勢が一切見られなかったことから「とがっている」と思われることも多かった。

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