お酒で赤くなる? 鍛えて強くなった人に食道がんのリスク
■危険なのは「飲めるが弱い人」
「結局、お酒が飲める、飲めないはアルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素がしっかり働くか否かにかかっています。この酵素を活性化する遺伝子と活性化しないものがあり、それは両親からひとつずつ受け継ぎます。(1)2つ共に活性化するタイプなら飲める人(2)ひとつだけなら飲めるが弱い人(3)両方とも活性化しないタイプなら下戸――となるのです」
問題は、アルコールもアセトアルデヒドも毒性があり、がんになりやすいこと。とくにアセトアルデヒドはアルコールの10倍も毒性があり、体内にとどまる時間が長いとがん化しやすい。
「その意味では、(2)の飲めるが弱い人は一番危ないタイプと言えます。自分がどのタイプかは、お酒を飲み始めの時に『顔が赤くなったか』どうかで分かります」
では、(2)のタイプの人はどうすればいいのか? まずは、禁酒・禁煙し、緑黄色野菜を積極的に摂取することだ。
「日本人の食道がんの9割を占める食道扁平上皮がんは、前がん病変とされる異型上皮から発生されると考えられています。京大医学部の武藤学教授の研究グループが、内視鏡治療した早期食道がん患者330人を調査したところ、異型上皮の発生には飲酒、喫煙、緑黄色野菜の不足、痩せが関係することが分かったからです。とくに食道に多発性の異型上皮がある患者さんは、治療後に禁酒すると食道内の別の場所にできるがんを77%減らせることが判明しました」(鳥居院長)
お酒はあくまで無理せず、楽しめる範囲にとどめることが大切だ。