著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

平均寿命の違いをあぶりだすには市町村レベルで見てみる

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 医療や健康に関する都道府県ランキングは、マスコミで頻繁に取り上げられています。たとえば平均寿命。男女とも長野県が最長なのはよく知られた話です。厚労省の「平成22年都道府県別生命表」によれば、男性が80.88歳、女性が87.18歳となっています。対するワースト1位は青森県の男性77.28歳、女性85.34歳。その差は3.60歳、1.84歳です。同じ日本に住んでいながら、大きな差が見られるのです。

 しかし、違いをより鮮明にあぶりだすには、市区町村レベルのランキングのほうが適しています。昨年、東京都港区と足立区の健康寿命の差が大きな話題になりました。都内の平均年収1位の港区と、最下位の足立区では、健康寿命に大きな開きがあるというのです。だからといって年収格差と健康格差が、直接結び付くわけではありません。しかし、市区町村は我々にとって生活圏に相当します。住民の健康意識や生活習慣に違いがあるかもしれないことは、容易に想像できます。

 住民健診やがん検診、各種予防接種や老人介護サービスの中身などが、自治体によって異なっているという現実もあります。住民の保健衛生や介護福祉の実施主体は「市区町村」と決められているからです。住民の年齢構成、病院・診療所や介護施設の数などにも、大きな差があります。そうした違いが総合的に合わさって、平均寿命や健康寿命、生活習慣病の罹患率などに影響していると考えられるのです。

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