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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

冬場の便秘に悩む高血圧の人は花粉症になりにくい可能性

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 2月に入り、そろそろ花粉症の季節になりました。実は私も40年ほど前からハウスダストによるアレルギー性鼻炎の診断を受けていて、この10年はスギやブタクサなどの花粉症に悩まされています。

 ただ、まったく症状が表れなかった年がありました。数年前、私は慢性甲状腺炎による甲状腺機能亢進症を患いました。発症したのは1月末のことです。当時は、治療のために甲状腺機能をコントロールする薬を服用していました。この薬は、適量を徐々に使わないと白血球が減少して免疫不全の状態になってしまうような非常に重篤な副作用を起こすため、主治医が2~3カ月かけて慎重にコントロールしながら服用しなければなりません。私も数カ月かけて服用を続けました。

 その年は1月後半から花粉が飛び始めましたが、例年、悩まされる花粉症のつらさを感じることがありませんでした。喜んでいたのですが、「ああ、そうか」と、すぐに甲状腺機能亢進症のためだとピンときました。

 甲状腺機能が活発になると、甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になります。すると、副腎髄質ホルモン「カテコラミン」の受容体の感受性が高まって作用を増強するといわれています。カテコラミンは、カテコールアミンとも呼ばれる副腎髄質ホルモンで、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンといった神経伝達物質の総称です。心拍数を増加させて血圧を上げたり、血糖値を上げるなどして、ストレスに立ち向かう態勢を整える働きがあります。また、腸管にも収縮作用を示すため、必ずと言っていいほど便秘します。同時に血管に作用して収縮させる働きもあることから、花粉症の症状を引き起こす目や鼻の粘膜で充血がコントロールされ、症状を抑えるのではないかと私は考えています。

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