著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

果物で糖尿病予防? 毎日食べると12%リスク減との報告も

公開日: 更新日:

 果物を適度に摂取する食習慣はとても健康的なイメージがあります。そして健康的な食習慣は、糖尿病の予防や、その管理に重要な役割を果たすと考えられています。ところが、「果物の摂取と糖尿病への影響」に関する研究はあまり報告されていません。それどころか、「糖分が多く含まれている果物は糖尿病に悪影響を与えるのではないか」という指摘さえあるようです。

 そんな中、果物摂取と糖尿病への影響を検討した論文が「プロスメディシン」という米国の医学専門誌電子版に2017年4月11日付で掲載されました。この研究は、中国の10地域から30~79歳の約50万人を対象に、約7年間の追跡調査が行われています。

 研究開始時に糖尿病がない人は48万2591人、糖尿病患者は3万300人でした。結果に影響を与えうる「年齢」「性別」「BMI」や「糖尿病家族歴」などの因子で、統計的に補正を行い解析されています。

 研究開始時に糖尿病を発症していなかった人を対象にした解析では、果物を摂取しない人に比べて、毎日摂取する人で糖尿病発症リスクが12%、統計学的にも有意に減少しました。また、すでに糖尿病を発症している人でも、果物の摂取が週に1日未満の人に比べて、週に3日以上摂取する人で死亡リスクが14%、統計学的にも有意に減少しました。つまり、果物の摂取が多いほど糖尿病発症のリスクが低く、すでに糖尿病を発症している人の死亡リスクも低いことが示されています。果物を積極的に摂取している人は、そもそも健康的な人たちかもしれませんし、過度な果物摂取もまた血糖値を上げてしまうかもしれません。

 しかし、適度な果物摂取は糖尿病に良い影響を与える可能性があります。

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