完治可能な病気だからこそ C型肝炎ウイルス検査のススメ
米澤氏が強く訴えるのは「40歳以上であれば、だれにでも感染リスクがある」ということ。輸血のスクリーニングは1989年以前はなかった。病院では注射器が連続使用されていた。つまり、C型肝炎ウイルスの感染を防ぐための今の体制が徹底されるようになったのは、近年のことなのだ。
米澤氏もかつてC型慢性肝炎患者だったが(今は完治)、告知された時に思い当たる原因はなかった。検査を受けなければ「C型慢性肝炎ではない」とは言い切れない。
「1回でいい。検査を受けてください。どこの病院でも受けられます」
米澤氏は、すでにC型慢性肝炎と診断されている人にも注意喚起を促す。C型慢性肝炎は長い時間をかけて進行するが、自覚症状がない。不調を感じるようになるのは、肝がんを発症した時か、肝硬変の中でも重症な段階(非代償性肝硬変)に至った時かだ。
「ずっと専門医にかかっていないのに『軽症ですから』と話す人が結構います。それは、自覚症状がないだけです」
C型慢性肝炎の治療は急速に進歩している。体のウイルス防御機能を活性化させるインターフェロンを定期的に注射する「インターフェロン治療」が開始されたのが92年。2011年には、飲み薬で増殖を抑制できる「直接作用型抗ウイルス薬(DAA)」が登場し、インターフェロンとの併用治療がスタート。そして14年、DAAのみの治療「インターフェロンフリー治療」が始まった。