著者のコラム一覧
高橋三千綱

1948年1月5日、大阪府豊中市生まれ。サンフランシスコ州立大学英語学科、早稲田大学英文科中退。元東京スポーツ記者。74年、「退屈しのぎ」で群像新人文学賞、78年、「九月の空」で芥川賞受賞。近著に「さすらいの皇帝ペンギン」「ありがとう肝硬変、よろしく糖尿病」「がんを忘れたら、『余命』が延びました!」がある。

手術中は痛みで暴れ回り職員に取り押さえられていた

公開日: 更新日:

 針は通常、先端が竹筒状になっているが、ナノパスは斜めに切ってある。言葉にすれば簡単だが、岡野さんは1枚の板をトントン叩き、それを0.2ミリほどまで細くした。蚊の針、それを口器というらしいが、まさに蚊の針と同じだ。岡野さんは医療機器会社から一切研究費をもらわず、町工場の技術だけで作っちゃった。このオジサンのおかげで、世界中の糖尿病患者がインスリンを打つのが怖くなくなったと思う。

 インスリンを打ち始めてから2年後……。2009年2月に肝硬変と診断され、「余命4カ月」を告げられた。肝性脳症という意識障害に陥り、夜中に庭に出ていた記憶がないこともあった。

 結果的に肝硬変は事なきを得たが、それから3年後の12年3月、今度は食道がんが発覚した。1カ月後に入院して精密検査してみたところ、食道に静脈瘤が見つかった。

「切除しないと静脈が破裂してしまう」という医師の説明を受け、がんの手術の前に静脈瘤の手術を受けることになった。肝臓が悪いから解毒作用がなく、血液が逆流してコブをつくってしまうとのことだった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方