多発性骨髄腫には治療をせずに経過観察で済むタイプがある
Yさんは両前腕を固定しながら、化学療法と放射線治療を受けました。5カ月ほどの入院治療によって病状は改善し、腰痛も減少、Mタンパク量の減少を認め、輸血によって貧血も改善したことで、その後は外来での治療となりました。
しばらく病状は安定していましたが、3年後に再びMタンパク量が増え、帯状疱疹、発熱などで入退院を繰り返しました。そして診断から約4年後、両側の肺炎を合併して残念ながら亡くなられました。
■発病の年齢にはバラつきが
運送業のCさん(55歳・男性)は、健診の採血で「異常タンパクがある」と指摘され来院されました。お元気で症状はまったくありません。採血では、血清免疫グロブリンの測定からMタンパクが認められた以外は特に貧血もありませんでした。
骨髄穿刺による骨髄像では形質細胞のわずかな増加であったことから、無治療で経過をみることになりました。年4回ほどの採血検査、その後は半年に1回の検査でもMタンパク以外には異常を認めませんでした。すでに10年が経過し、なにも治療することなく元気で過ごされています。