世界初! AIを使った画像診断でがん見逃しリスクを減らす
多田院長がAIの開発に着手したのは、浦和医師会で胃がん検診の読影委員を務めているからだ。胃がん検診がレントゲンから胃カメラに置き換わり、画像のダブルチェックでは1時間に3000枚以上も目を通さなくてはいけない状況にある。
「その負担を感じていたときに、AI研究の権威である東大の松尾豊先生の講演を聞く機会があり、『AIの画像認識能力が人間を上回り始めた』という話をされていたのです。だったら、自分たちで内視鏡用のAIを作ってしまえばいいと。昨年1月から開発を始めたのです」
■医師70人が1年がかりの仕事も2時間で
胃がん検診は浦和医師会が担当するだけでも年間5万~6万人分、200万枚以上の画像を専門医70人で1年がかりでダブルチェックをしている。それをAIに画像診断させれば、1年分がたった2時間で終わってしまうという。
最初は、胃がんよりも比較的判別しやすいピロリ菌胃炎でAIの開発を始めたが、すぐ実行に移せたのは同院が年間1万件もの内視鏡検査(上部・下部含め)を行っている施設だからだ。いまは「胃がん」「食道がん」「大腸がん」のAIを並行して開発中という。