大腸がんのリスクがアップ 盲腸を安易に切除してはいけない

公開日: 更新日:

 近年、腸内細菌の研究が進み、さまざまな病気に関わっていることがわかってきた。そんな善玉腸内細菌の“隠れ家”になっているのが「虫垂」(盲腸)で、大腸がんの発症にも影響するという。

 虫垂は大腸の入り口の先端にある小さな器官で、かつては「必要のない器官」と見なされていた。人間が進化する過程で機能を失い、その跡だけが残ったものだと考えられていたのだ。そのため急性虫垂炎と診断されると、ほとんどの場合で虫垂を摘出する切除術が行われていた。

 しかし最近の研究で、虫垂の中にある免疫細胞が大腸の粘液中に分泌されている「IgA」という抗体を産生していて、腸内細菌の制御にも関わっていることがわかってきた。

 そのため、軽い虫垂炎では安易に切除はせず、まずは抗生剤で炎症を抑える保存的治療を行うケースが増えているという。

 日本消化器病学会専門医の江田証氏(江田クリニック院長)は言う。

「大腸内には100兆個もの腸内細菌が生息していて、バランスをとりながら免疫機能をコントロールしています。腸内細菌はバクテリアですが、大腸内に大量に生息しているのに腸の粘膜内に侵入し、感染症を起こすことはありません。これは、腸壁の粘液の中に分泌されているIgA抗体の働きによるものです。つまり、IgA抗体が免疫力を高め感染症を防いでいるのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…