<7>膵臓がんになりにくい? B型は1.72倍も高いのに
O型血液は、マラリアへの対抗手段として生み出されたものですが、副産物として「血液が固まりにくい」という形質も獲得しました。
このことは、O型が他の血液型よりも静脈血栓症や心筋梗塞などになりにくい、という思わぬメリットをもたらしました。しかしその一方で、外傷などの出血が止まりにくく、失血死に至るリスクが高いという不利益にもつながっています。
ところがそれだけでなく、O型は「がんにかかりにくい」という性質も獲得しているのです。
もちろんすべてのがんというわけではありません。世界的にコンセンサスが得られているのは、いまのところ膵臓がんと胃がんです。
その他のがんでは、O型が有利とする研究結果もありますが、差はほとんど見られないとする研究結果も多く、コンセンサスは得られていません。
膵臓がんに関しては、2009年に出たアメリカの国立がん研究所の論文が有名です。
医療従事者10万7000人に、約9年間にわたって追跡調査するという大規模な研究でした。この間に316人が膵臓がんを発症。対象者と発症者の血液型分布から、O型と比較して、B型のリスクが1・72倍、AB型が1・51倍、A型が1・32倍も高いことが明らかになったのです。