ベトナムは若手医師のモチベーションを上げてくれる
ベトナムで見られる胃がんは進行がんが多いことと、医療費の関係から日本のような腹腔鏡手術や抗がん剤治療は縁遠いため、いまの日本では減っている通常の手術を学ぶことができ、若い外科医にとって大変勉強になります。胃がんについて、いくら教科書で勉強しても「百聞は一見にしかず」で、実際に自分の目で見て症例を経験しなければ身になりません。だからこそ、医学生や若手医師をベトナムに派遣し、いまの日本では経験できなくなっている病気に触れる機会をつくりたいと考えているのです。
またベトナムでは、医学生が手術などの現場に参加できる環境にあります。米国、カナダ、豪州などの場合、治療に加わるためには現地のライセンスを持っていなければなりません。ドイツをはじめとした欧州も手間のかかる申請が必要です。そうした点から見ても、ベトナムは医学生や若手医師が学ぶ環境としてうってつけといえます。
■超高齢社会の日本は“お年寄りの病気”が多い
さらに、日本の若い医師たちにとって、ベトナムはモチベーションをアップさせることができる場所ではないかと考えています。いまの日本は深刻な人口減少社会です。高齢化が加速していて、85歳付近の人口が最も多い、いわゆる棺桶型の人口構造になっています。そして、疾病に関してもその人口構造に即した状態になっていて、高齢者に多く見られる病気が増えているのです。