生活習慣以外も問題…ありふれた化学物質が招く肥満リスク
研究は過体重もしくは肥満の成人男女621人を対象に、研究開始時に血中PFAS濃度を測定し、体重の変化との関連を2年間追跡した。結果、血中PFAS濃度と減量後の体重増加との相関が見られ、その傾向は特に女性で顕著だった。
■大気汚染で320万人が糖尿病を発症した可能性
肥満との関わりが深い糖尿病は大気汚染により発症リスクが高くなるとの報告もある。米国ワシントン大学などの研究チームは糖尿病歴のない退役軍人170万人について8年半追跡調査して糖尿病の発症率と大気汚染の程度を比較した。その結果から2016年だけでも世界中で320万人が大気汚染により糖尿病を発症した可能性があると発表した。
大気汚染により体内で炎症反応が起こり、インスリン分泌を制御する膵臓の能力を低下させたという。
環境化学物質は臍帯血からも検出されることから、母体を介して胎児に移動することがわかっている。最近問題になっている小児肥満にも関係しているかもしれないのだ。
「ただし、化学物質は肥満と関係ないという研究も発表されており、現段階で環境化学物質が確実に肥満と関係すると判明したわけではありません。仮に関係したとしても、化学物質に対して敏感な人とそうでない人がいるなどとする研究もあり、より慎重で詳細な検討が必要です。ただ、私は身近な化学物質が肥満のリスク要因である可能性はゼロではないと考えています。今後は肥満を予防するために化学物質を体内に取り込む量を減らす方法と蓄積された物質を排出する方法を確立する必要がありそうです」