著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

一流医学誌で発表 “少しのお酒は健康に良い”は本当か?

公開日: 更新日:

 健康のために適切なお酒の量はどのくらいか? この問題は、まだ解決はされていません。

 お酒を1日4合以上飲み続けていれば、肝臓が悪くなる可能性が非常に高く、心臓病脳卒中などの病気も増加することは、ほぼ間違いのないことです。ただ、アルコールを適量飲む人の方が、全く飲まない人よりも、一部の病気のリスクは低くなり、寿命にも良い影響がある、というような研究結果も複数報告されています。

 日本では厚労省のe―ヘルスネットに、日本のデータを基にして、がんと心血管疾患、総死亡のリスクが最も低いのは、アルコールで1日平均23グラム(日本酒1合くらい)の飲酒習慣のある人だ、という結果が紹介されています。その一方で海外では、お酒を少量であれ飲むと、それだけで寿命は縮むという結果も発表されています。果たしてどちらが正しいのでしょうか? 

 今年のランセットという一流の医学誌に、中国で50万人以上の遺伝子を調べて、この問題を検証した論文が発表されました。それによると、確かに適量の飲酒をしている人の方が、脳卒中や心筋梗塞になるリスクは低く見えたのですが、遺伝子のタイプで飲酒量を推定する、という正確な方法で調べると、今度は少しのお酒でも病気のリスクは増加する、という違う結果が得られたのです。

 お酒を適量飲む人の方が健康に見えるのは、お酒そのものが原因ではないようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発