著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

ステロイドが増えて血糖値が上昇 脱毛治療薬で糖尿病に?

公開日: 更新日:

 髪の毛が薄くなって悩んでいる男性用の飲み薬として、「フィナステリド」(一般名、商品名プロペシア)と「デュタステリド」(一般名、商品名ザガーロ)の2種類が、お医者さんで使われています。この薬は男性ホルモンであるテストステロンが、より強力なジヒドロテストステロンになるのを妨害する作用があります。男性ホルモンは前立腺を大きくする働きがあるので、前立腺肥大症の治療薬として使われます。そしてもう一つ、男性ホルモンは脱毛の原因となるので、薄毛の薬としても使われているのです。

 この薬は主に前立腺や皮膚に効果があるのですが、それ以外に肝臓や脂肪などにも作用することが分かっています。そして肝臓や脂肪に働くと、テストステロン以外のステロイドホルモンが分解するのを抑え、結果としてステロイドが体にたままりやすくなることが想定されます。

 このことで体に何か問題はないのでしょうか? ステロイドが増えることで、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効き目が悪くなる可能性が指摘されています。

 今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に載った疫学調査のデータでは、脱毛治療薬を前立腺肥大症の治療目的で飲んでいる人は、それ以外の薬を飲んでいる人と比較して、約30%糖尿病になりやすい、という影響が認められました。

 脱毛治療薬を使っている人は、血糖値にも気を配る必要がありそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…