急速に進化する医療を最大限に活用するには早期発見が肝心
かつての日本には、手遅れになるくらいまで病気が進行した状態で、倒れてから初めて見つかる……といった傾向がありました。少し調子が悪くてもガマンして健康障害を抱えていても自分でしのぐという文化のようなものがありました。いまもそうした意識を持っている高齢者も少なくありません。しかし、それはもう“医療発展途上国”の考え方だといえます。
低成長の時代になり、いまの日本は「自分のためにお金を使う」という文化がある程度、定着しています。「水を購入する」という行為が一般的になったのはその最たる例と言えるでしょう。公共のシステムから入手できるものに対し、プラスアルファを求めてお金をかけて小さな満足を手に入れる。それが当たり前になってきています。
そうした意識を持っている人が、自身の満足のひとつといえる「健康」を手に入れるためにお金も手間もかけないというのは、文化的に教養のある人だとはいえません。自ら、「高度成長のために企業戦士として使い捨てになった頃の発展途上国の日本人だ」と言っているようなものだと思います。
日本の保険制度の中で認められた予防医療や社会人として保障されている健康診断は、きちんと受けるのが先進国の日本人としてのあるべき姿だといえます。そうした医療を受診することが、結果的に医療費の抑制につながり、間接的に国に貢献することになるからです。