【芝エビづくし】「始末」で体や血管の老化を防止する
■小なりとも完全食品
自然界を眺めてみると、ヘビでもカエルでも、捕らえた獲物はそのままパクリ。つまり、生物はちゃんとホールフード(丸ごと食品)を心がけている。食べることは、生きること。丸ごといただくことによって、生命とそこに含まれる全栄養素をすべて受け取るのである。我々もできればそれを見習いたい。
硬いうろこや骨があるとそう簡単にいかないことも多いが、芝エビくらいならホールフードの教えを実践できる。芝エビは近海で捕れる小型のエビ。エビの子どもではなく、立派な大人。昔は芝浦沖で漁獲されたのでこの名がある。
芝エビを丸ごと食べると良いことがいっぱい。解毒作用に重要なアミノ酸タウリン、抗酸化作用を持つビタミンE、骨の成長に必須のビタミンDとカルシウムを豊富に含む。エビの殻はキチンという物質で、ヒトには直接栄養素とはならないが食物繊維として働き、コレステロールや毒素の吸着作用がある。また独特のうま味を持つ甲殻類のミソは、脳みそではなく肝臓。ここにも鉄分がいっぱい。芝エビは小なりとはいえ完全食品なのである。
(福岡伸一)