【ウドの焼き浸し】アク抜きせず香りと苦味を丸ごと味わう

公開日: 更新日:

ホールフード主義<1>

 春野菜の持つ力強さは、ときに苦味だったり、えぐみだったりすることがあります。淡泊な味ではなく、その野菜がもつ「押しだし」の強さのようなものも旬の野菜の魅力です。

 今回紹介するウドはふつうはアクが強い野菜として知られています。でも、このアクというか、強い香り、苦味こそがウドの魅力で、そこに春があるのです。

 料理の教科書にはアク抜きのため酢水に漬ける、あるいは茹でると書いてあります。でも、昨今、スーパーで売られているウドには、それほどのアクはありません。消費者に受けているからでしょうが、私に言わせれば、物足りない。昔の野菜の方が濃厚でした。

 ですから、今回はアク抜きの工程を入れていません。産毛の処理も包丁を使わず、スポンジでこすり落とすだけです。世の中に流布されている情報を信じ、型通りのアク抜きをしていたら、ウドの香りが飛んでしまいます。それがおいしいものだと信じ込んでいると、旬を丸ごと楽しむことはできないし、食材のパワーを享受できなくなるのです。

 煮浸しに使う白い部分はこれくらい大きく切れば、歯ごたえも含めて、ウドを実感できます。焦げ目が香りを引きたて、梅のだし汁は塩分を控えめにしてくれます。皮はきんぴらに。砂糖は入れません。穂先の方はえぐみがあるので、ホタルイカと合わせて、佃煮風にしました。旬のお料理は出合いの組み合わせを大事にします。春が2倍になるからです。

 福岡先生は旬のものを丸ごと味わうことが「生きる力」につながるとおっしゃっていますが、同感です。それを具現化したレシピです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」