著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

米や海藻にも含まれる 身近な「ヒ素」ががんや心臓病を招く

公開日: 更新日:

「ヒ素」と聞くと、どのようなイメージを持たれますか?

 毒薬と感じる方が多いかも知れません。昔から毒薬として使われることが多かったのは事実ですし、和歌山カレー事件もヒ素が使われていました。

 しかし、実際にはヒ素は土や水などに多く含まれる自然の元素。人間の体にも微量ですが存在している成分です。それ以外に魚や海藻などにも含まれています。

 このヒ素が大量に体に入ると、急性の中毒症状となり、下痢や嘔吐、内臓障害などを起こして、最悪は死に至るのです。中毒を起こすほどの量でなくても、多くのヒ素を長期間摂取すると、健康への悪影響があることが分かっています。膀胱がん肺がんが増えることや心臓の病気が増えることが報告されています。

 しかし、なぜヒ素が心臓病の原因になるのかについては、あまり明確なことが分かっていませんでした。そして、今年の心臓病の専門誌に発表された論文で、ヒ素の摂取量が増えるに従い心臓の筋肉は肥大して、その働きも徐々に落ちるということが長期間の追跡調査によって明らかになったのです。

 ヒ素は米や海藻に多く含まれていて、日本人は欧米よりたくさんのヒ素を取っていることが分かっています。これまでそれは問題ではないとされてきましたが、今後はよりヒ素を減らすように、食事に気を付ける必要がありそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…