アスリートじゃなくても…手首の痛みを侮ってはいけない
「手の小指側にある組織を三角線維軟骨複合体と言い、その部分の故障をTFCC損傷と言います。TFCCは、手関節の小指側にある6つの靱帯(尺骨三角骨靱帯、尺骨月状骨靱帯、掌側橈尺靱帯、背側橈尺靱帯、尺側側副靱帯、三角靱帯)と関節円板からできています。その役割は、手首を安定的に支えて衝撃から守り、手関節を円滑に動かすことです。ごくまれに手関節の骨が生まれつき長いことなどによりTFCC損傷の症状を生じる場合がありますが、通常は転倒、転落、交通事故といった外傷型と、仕事やスポーツなど長期にわたる手関節の酷使や加齢変性などにより損傷して痛みを生じる変性型に大別されます」
田中さんの場合は外傷型だが、受傷後も週1回、地元の剣道場で長年続けてきた子供たちの剣道指導をやめなかったことから、それも悪かったのかもしれない。その後、手術をすることになったという。
TFCC損傷の主な症状は鋭い痛みで、ドアノブやカギを回したり、タオルを絞ったり、フライパンやヤカンなどの重いものを持ったり、小指や手首を曲げたり、ひねったときに表れる。診断は手首の骨を押したり、手首を小指側に曲げて軸圧をかけたりする疼痛誘発テストのほか、単純レントゲン撮影や超音波検査などを行う。ただし、確定診断にはMRI検査が必要になる。