アスリートじゃなくても…手首の痛みを侮ってはいけない
「よく痛みを我慢しきれなくなってから手術を決心する人がいますが、痛みを甘く見てはいけません。TFCC損傷に限らず、脳はその痛みを記憶します。痛みが長く続けば続くほど、脳は長くその痛みを記憶してしまうのです。痛みがあると血管が収縮して筋肉が緊張して血流が悪くなります。すると、血液中に痛みを発する物質が滞留して、痛みが出てしまうのです。つまり、痛みの悪循環に陥るわけです」
3カ月を超えて継続もしくは再発する痛みを慢性疼痛というが、慢性疼痛は倦怠感や睡眠障害、食欲減退、味覚消失、体重減少、便秘、性欲減退などの自律神経兆候を起こすことが知られている。
絶え間ない痛みは、抑うつや不安を引き起こし、引きこもりになったり、健康状態が気になって物事に手がつかなくなったりするなど、痛みが原因で社会的な機能を失ってしまうこともある。
「また、痛み本来の体に対する異常を知らせるシグナルという役割も失ってしまいます。本来、痛みを発しなければいけない状況に小さな痛みしか感じなくなったり、ほぼ回復した受傷や病気による痛みをことさら大きく感じてしまったりすることもあります。ですから、痛みは我慢するのではなく、なるべく速やかに除去することが大切なのです」