認知症患者の歯科治療はできる時だけ少しずつ進めていく
前回の説明をほとんど覚えていませんし、同じ日に同じ話を4回話してくれた方もいらっしゃいましたが、いつも初めて聞いたように対応するのが大事だと思います。歯ブラシがしっかり使えていなくても、「前よりキレイに磨けてますね、その調子ですよ」といったように、否定的なことを言わないよう心がけています。
治療も、その日その日で機嫌が変わるので、できる日には進め、できないときはできるところまで無理のないように進め、できたことを全力で褒めて……その繰り返しで少しずつ進めていきます。
ただ、認知症の患者さんが歯科医院に通うのは家族に大きな負担がかかりますから、そんなときは生活されている地域の歯科医師会のホームページをチェックしてみてください。訪問歯科診療をしている歯科医師を探すことができます。
とにかく最後まで笑顔で気持ちよく食事を楽しんで過ごしていただけるようにと、われわれ歯科医師も願っています。
(構成=小澤美佳)