著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

糖尿病の3大合併症である「腎症」の考え方が変わってきた

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 つまり、従来は「腎機能低下=タンパク尿が出ている/クレアチニン値が高い/微量アルブミン値が高い」だったのが、DKDでは「微量アルブミンも尿タンパクも出ていないが、腎機能が悪い」ケースもあれば、「微量アルブミンも出ていて、タンパク尿も出ていて、腎機能が低下している」というケースもあるのです。むしろ前者のような、典型的な経過をたどらないケースが増えてきています。

 その理由のひとつとして、糖尿病の治療が進んだことが挙げられます。よく効く薬が登場し、血糖のコントロールは比較的うまくいくようになった。しかし、腎機能低下の原因になるのは、糖尿病に限りません。代表的なものでは、高血圧腎臓にダメージを与えて腎機能低下のリスクを上げます。高血圧の場合は、血圧が高い状態が長く続いたために腎臓の糸球体へ血液を送る細動脈に圧力がかかり、血管内の細胞がそれに反応して増殖し、血管の内腔が狭くなって血流が悪くなり、糸球体が硬化して腎機能が低下します。

 糖尿病の人には高血圧も併発している人が少なくありません。糖尿病のコントロールはうまくいっているけど、高血圧がそうでなければ、腎機能は低下する。腎機能に至る原因が異なるため、タンパク尿が出ない場合も多いのです。

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