糖尿病の3大合併症である「腎症」の考え方が変わってきた
糖尿病の3大合併症は、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害です。残念ながら、これらの合併症は一度発症すると治りません。ただし、早く発見し、治療を行えば、進行を遅らせることができます。それができなかった場合、糖尿病性腎症は人工透析を、糖尿病性網膜症は失明を、糖尿病性神経障害は足の壊疽による切断を招きます。人工透析や足切断は生命予後にも悪影響を及ぼします。
3大合併症の深刻さについては、知っている人が増えてきました。しかし最近、糖尿病性腎症の考え方が変わってきたことについては、ご存じない人が多いのではないでしょうか?
これまで考えられてきた糖尿病と腎臓病の関係は、次のようなものです。それは、「血糖値のコントロールが悪い状態が続く→血管がダメージを受ける→腎臓の中の細い血管が毛糸玉のように丸まった『糸球体』が壊れ始め、タンパクの一種であるアルブミンが微量に尿の中に漏れる→糸球体がどんどん壊れ、アルブミンが尿の中に漏れる量が増える」。
アルブミンが尿に漏れる量がある一定量を超えると、健康診断では、タンパク尿として検出されます。これが出たら、腎機能の低下を疑います。