コロナ発熱の勘違い 中高年は毎日同じ時間に体温を測るべき
「つまり、高齢者はただでさえ体温が低いのに、冬になるとますます体温が低くなり、発熱という体の異変を知らせる警報に気づきにくいのです」
高齢者の体温が低くなる原因は脳や骨格筋、肝臓、心臓など熱の産生に関わる働きが鈍くなるだけではない。それを支える血管が少なくなることも一因だ。
「全身の血管の99%を占める毛細血管は40代くらいから目立って少なくなり、60代では20代の6割程度になるといわれています。毛細血管がなくなると酸素、栄養素、ホルモン、免疫細胞がたっぷり含まれた血液が全身の細胞に届かなくなります。その結果としてさまざまな代謝も行われなくなって熱をつくり出すことも、免疫細胞が体内に侵入したウイルスやウイルスに侵された細胞体を攻撃する機会も減る。感染しやすく、感染しても熱が上がりにくい体になってしまうのです」
とはいえ、先に述べたように発熱は体の異変を知らせるシグナル。それを知るにはどうすればいいのか?
「人の体温は昼間は高く、夜から朝にかけて低くなります。ですから、中高年は定時に体温を測ることです。具体的には起床時、午前、午後、夜の4回、時間を決めて測るといいでしょう。ただし、食後は体温が上がるので食べる前に測るといい。常に4つの体温を覚えておいて、変化があるようなら、医療機関に電話などで相談することです」
感染リスクが高く、気づいたときには重症化していることの多い中高年は「手洗い」「マスク」「3密回避」「換気」「ソーシャルディスタンス」に加えて、「体温測定」を生活習慣に取り入れることが重要だ。