80代の10人に1人は心房細動 4割が死の危険に気付いていない
なぜ心房細動が早い段階で適切な治療が必要なのか? それは、心房細動がさまざまな重篤な病気のリスクを上げるからだという。
■すべての認知症の危険因子
まず、心不全だ。心不全は心臓の機能がうまく働かず、全身の血液の循環が滞る状態で、「入院→退院→再発→入院……」を繰り返す。そのうち治療法がなくなり、死に至る。
「心房細動の患者さんのうち、20~30%が心不全を合併します」
心房細動が心不全を引き起こし、心不全が心房細動をより悪くする悪循環に陥る。
次に、脳梗塞だ。
「心房の中で血液がよどみ、血栓ができやすくなり、それが血流に乗って脳に飛び、血管に詰まると脳梗塞が起こります。大きい血栓なので命に関わる大きな脳梗塞になりやすく、一命を取り留めても半身マヒや寝たきりなど重い後遺症が出る可能性が高いのです」
脳梗塞の20~30%は心房細動によるもので、心房細動の人は、そうでない人より5倍、脳梗塞になりやすいといわれている。抗凝固薬でリスクを下げられるが、薬は毎日飲まなければならない。