いつまでも口から食べたい<上>経口摂取は困難と言われたら

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 患者サイドの問題としては、「高齢で心身が衰弱し、食べることで誤嚥肺炎やそのほかの併存疾患の悪化に陥る可能性がある」「本人が食べたいという意思表示ができず、意識レベルや認知機能が相当低下している」「消化管の機能が相当低下しており、嘔吐や下痢を繰り返す」「経口摂取を開始すると発熱を繰り返す」など。

 一方、人的・物理的環境の問題としては、「家族が在宅での受け入れに消極的」「医師が主観的に難しいと判断し、食べることへの関心が希薄」「食べる支援を積極的に行う看護師や言語聴覚士がいない。もしくは実力がない」「摂食嚥下機能の改善を図るための知識や包括支援体制が脆弱」「退院先が経口摂取と非経口栄養の併用を認めない」「家族が医師の判断に委ねる」などがある。

「本当に経口摂取が可能かどうかは、その方の健康レベルや病状、どの時点で、だれが、どの評価ツールを用いるかで異なります。ただし、医師や歯科医師が嚥下障害評価のゴールデンスタンダードとして行う嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査は、難易度が高いと考えてください」


 この検査は、造影剤を食物に入れたものを食べたり、鼻からチューブを入れて食べさせたりするもので、そもそも痛くてつらい検査である上に、口腔状態、認知機能、食べる時の姿勢や動作、食物の形態で評価結果が左右される。たとえば、顎が上がった姿勢のまま行うと誤嚥しやすくなる。認知機能が低下している人は指示に従えず、評価結果が悪くなることも珍しくない。

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