声のかすれが続く…誤嚥性肺炎リスク高める声帯萎縮を疑う
声のかすれが続く時、喉頭がんや肺がんなど、がんのサインであることがある。だから、声のかすれがあれば一度病院で検査を受けるべきだが、病気が見つからなくても、要注意の場合がある。
「年を取ると声帯が萎縮し、筋肉も萎縮して減少します。すると、声がかすれるようになる。高齢者の場合、これが誤嚥性肺炎のリスクを高めることにつながります」
こう言うのは、国立病院機構東京医療センター感覚器センター(耳鼻咽喉科学)の角田晃一医師だ。誤嚥性肺炎は日本人の死因第3位で、その多くが高齢者だ。
角田医師が、実際に診た症例の一つを挙げてくれた。
68歳の男性は、67歳まで営業の第一線で活躍。現役を退いた後はのんびり過ごそうと考えていたところ、久しぶりに会った元部下に「声がかすれていますよ」と指摘された。食事中に慌てて食べるとむせることも多くなっていたので、逆流性食道炎を疑い、内科を受診。食道・胃には病変が見つからず、胸のレントゲンも正常だった。
ちょうどその頃、テレビで喉頭がんを取り上げているのを見て、がんではないかと心配になり、角田医師の耳鼻咽喉科の外来を受診した。喉頭ファイバーの検査では、逆流性食道炎も、がんもなかった。確認できたのは左右の声帯の萎縮だった。思いっきり息を吸って「あぁー」と声を出して調べる「最長発声持続時間」は9秒。正常は15秒以上なので、それよりも短かった。さらに声を出した後、男性は咳き込んでしまった。