いつまでも口から食べたい<上>経口摂取は困難と言われたら

公開日: 更新日:

「ほかにもいくつかのテストがあり複合して行いますが、評価者のスキルや経験、患者さんの状態の影響を受けやすい」

 要介護高齢者で入院前からペースト食しか食べていない人に、顎が上がった姿勢で突然水を飲ませてもうまくいかない。それは、歩く機能が衰えた人にいきなり100メートルを全力疾走させ、タイムが遅かったり完走できなかったりしたら「自力歩行は不可能」と判断するようなものだ。

「痰の吸引や口腔ケアをしっかりし、誤嚥をしにくい姿勢で、食べるものを見せて脳に食べる準備をさせてからテストをすれば、誤嚥なくスムーズに食べられるケースはよくあります。本人も満足感があるので、覚醒を良好にしたり、食欲を高めたりします。結果、脳機能の活性となり、摂食嚥下機能の改善を促進する評価となります」

 残念ながら、現在の医療では、口から食べられなくなった理由をきちんと探り、対処されるケースはまれだ。大事なのは、1~2回の評価で経口摂取が可能かどうかの判断をしないこと。「今」は経口摂取が困難でも、栄養を十分確保して食べ物を使った訓練をしたり、前述のように痰の吸引や口腔ケアをしたり、ステップを踏んで口から食べられるようになる人は少なくない。

 医師の「口から食べることは困難」の言葉をそのまま受け入れず、あきらめないことだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭