著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

患者と医者は運命共同体 医師の言葉で気持ちが明るくなった

公開日: 更新日:

 今年の正月は、Kさん(64歳・男性)の家には誰も来ませんでした。前立腺がん手術を受けてから2年、妻に先立たれているKさんは、テレビで箱根駅伝を見ながら、ひとりで過ごしました。

 娘と孫からは、「お正月は行けないけど今年もよろしくね」とスマホの画面越しに挨拶があっただけ。新聞で報じられている新型コロナウイルス、Go To、アメリカ大統領……などの記事を読みながら、Kさんは何かもっと明るい話題が欲しいと思いました。

 昨年暮れに幸先詣をしていたので神社に行くこともありません。それでも、「新年を迎えられたことはありがたいことだ」と思い直しました。手術後も大きな問題はなく、きっとこの分なら今年も春に桜を見ることができそうです。

 年が明けて4日は、2021年最初の診察日でした。通院しているP病院の入り口には、手の消毒の噴霧器があって、「明けましておめでとうございます。マスクの着用をお願いします。院内の滞在時間を極力短くしてください」という大きな掲示があります。

 朝食を取っていなかったKさんは、採血検査を終えると待合フロアの椅子に座り、マスクを顎まで下げて、売店で買ったサンドイッチを食べながら診察を待ちました。1時間ほどたって呼び出しがあり、Kさんは診察室に入りました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  2. 2

    ヤクルト村上宗隆「メジャー430億円契約報道」の笑止…せいぜい「5分の1程度」と専門家

  3. 3

    1年ぶりNHKレギュラー復活「ブラタモリ」が好調も…心配な観光番組化、案内役とのやり取りにも無理が

  4. 4

    回復しない日本人の海外旅行…出入国数はGWもふるわず、コロナ禍前の半分に

  5. 5

    故・川田亜子さんトラブル判明した「謎の最期」から16年…TBS安住紳一郎アナが“あの曲”を再び

  1. 6

    「リースバック」で騙される高齢者続出の深刻…家を追い出されるケースも

  2. 7

    眞子さん極秘出産で小室圭さんついにパパに…秋篠宮ご夫妻に初孫誕生で注目される「第一子の性別」

  3. 8

    田中圭にくすぶり続ける「離婚危機」の噂…妻さくらの“監視下”で6月も舞台にドラマと主演が続くが

  4. 9

    千葉工大が近大を抑えて全国トップに 「志願者数増加」人気大学ランキング50

  5. 10

    三山凌輝活動休止への遅すぎた対応…SKY-HIがJYパークになれない理由