「爪が黄色い」患者さんを検査すると肺に胸水が見つかった
「頚部とわきの下が黒くなった」
そう訴える55歳の男性(会社員)が来院されました。痛みはないとのことですが、黒くなっているところの一部は線状になって色素沈着がありました。夏の間、特別に日焼けしたこともなく、何だろうと思って受診されたといいます。
採血、尿の検査では問題ありません。しかし、胃内視鏡検査で進行した胃がんが見つかりました。まれな例ですが、この男性のように内臓の病気が皮膚に表れてくることがあり、「デルマドローム」と呼ばれています。
食品売り場にさまざまな種類のミカンがたくさん並ぶ季節になりました。北国育ちの私は、冬になると毎年、こたつの中でミカンを一日何個も食べました。高校生の頃、ミカンの食べ過ぎで「体が黄色い」と指摘されたこともありました。黄疸ではないかとの心配もされましたが、黄疸の場合は目の結膜も黄色くなり、尿は黄色く、便は白くなります。
ある外来診察での出来事です。「爪が黄色い」とのことで、皮膚科から60代の女性が紹介されてきました。皮膚や目の結膜は黄色ではなく、肝機能検査も問題なかったので黄疸ではありません。また、貧血もありませんでした。しかし、爪は黄色いのです。