著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

仲が悪い夫婦ほど発言中に相手に向ける視線量が多い

公開日: 更新日:

 また、科学技術振興機構の柏原らの研究(2010年)では、「心の動きは自分の意思ではコントロールできない目の動きに表れることもある」と報告されています。まさに、目は口ほどに物を言うのです。

 仮に目の動きを意識的に止めていても、マイクロサッケードと呼ばれる小刻みな動きを無意識に眼球は行っています。先の研究によれば、快感や不快感を呼び起こす心の動きは、マイクロサッケードを抑える傾向があるとも唱えています。

 そして、次のような怖いお話も。ユタ大学のベイヤーと医師のスターンバーグの研究(1977年)によれば、「適応度の低い夫婦ほど、発言中に相手(配偶者)に向ける視線量が多い」と報告しています。夫婦関係があまり良くないから改善の意を込めて真摯に目を見ているのではありません。なんと、理解し合うという意思ではなく、自分の発言が相手にどういう効果をもたらしているかを、話しながら相手を見て、常に監視、支配しようとする動機の表れである、と彼らは説明しているのです。

 しかも実験では、配偶者が否定的なメッセージを発した場合に、特に直視量が多くなったといいます。視線に敵対的な意味が込められ、「なんか文句あるのか? 言ってみろよ」といった敵愾心の視線だというわけです。言われてみれば、ケンカをしている人って、なぜか異様に相手の目を見つめますよね。対して、適応度の高い夫婦の場合は、夫は発言中よりも聴取中に妻に多くの視線を向け、敵意や監視の意がないと示唆していることも分かりました。いやはや、まさしく目は口ほど……、いや口以上に物語っているのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」