著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

ヘロヘロになりながらの往診では患者や家族に安心を与えられない

公開日: 更新日:

 看護疲れに陥ったご家族と、同じくヘロヘロになりながら往診する医療スタッフという状況では、いい在宅医療は実現しないのです。

 その患者さんは76歳で奥さまと2人暮らし。骨髄異形成症候群と老衰があり、私たちが訪問するようになりました。

 奥さまは病状が変化するたびに不安になるようで、日中、頻繁に電話がかかってきました。その都度、簡単なアドバイスを伝え、必要があれば必ず訪問して患者さんの状態を確認。状況に応じて、症状を楽にするために輸血などの治療を行いました。

 そして私たちが帰った後も患者さんがつらさを感じず過ごせるか、一生懸命に考え、奥さまに伝えるように努めました。そうすることで奥さまも安心されて、ご本人とともに夜間はぐっすりお休みできました。やがて嫌な症状もなく、徐々に衰弱し、眠ったように永眠されたのでした。

 私たちは常にどうすれば自宅という場で患者さんが療養しながら、そこのご家族もみんな安心を得られるかを考えます。

 まさにそのことが在宅医療に求められる「患者さんの生活を丸ごと見るテーラーメードな医療」のあるべき姿だと考えています。

 患者さんが安心しなければ、私たちも安心できません。だからこそ、患者さんやご家族の生活が不規則になりがちな深夜の往診を避け、夜間は安心してお休みしてもらう。昼間の重点ケアの実施は、在宅医療において必要不可欠だと考えています。

【連載】最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」