抗菌薬が効かない「耐性菌」の拡大を防ぐために心がけるべきポイント

公開日: 更新日:

 耐性菌が増えると、それまでは抗菌薬を使えば回復できた感染症の治療が難しくなり、重症化や死亡を招くリスクが高くなる。そのため、日本も含めた世界各国で耐性菌の拡大防止の取り組みが行われているが、十分とはいえないのが現状だ。「細菌が薬剤耐性を獲得するのは、抗菌薬の使用が大きく関わってるといわれています。抗菌薬は細菌にとっては猛毒ですから、細菌は生き延びるためにその抗菌薬を無効にしようとします。それを繰り返すうちに、細菌はさまざまな耐性システムを構築するのです。たとえば、細菌自体の内部に入ってきた薬を外部に出す『排出ポンプ』、細菌を覆っている細胞膜を変化させて薬の浸透を弱める『外膜変化』、薬から身を守るためにぬるぬるした粘着物で細菌自体を覆う『バイオフィルム』、細菌内部で薬が標的にする部分を変化させて薬の効果をなくす『遺伝子変異』、薬が細菌に到達する前に化学反応で分解する『ベータラクタマーゼ』などがあります」

 耐性システムを持つ耐性菌が発生すると、持っていない細菌にそのシステムを受け渡したり、システムを持たない細菌が抗菌薬で死滅すると、システムを持つ耐性菌が取って代わって増殖していく。耐性菌がひとつ発生しただけで、一気に増える可能性があるのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層

  3. 3

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 4

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  5. 5

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  1. 6

    陰謀論もここまで? 美智子上皇后様をめぐりXで怪しい主張相次ぐ

  2. 7

    白木彩奈は“あの頃のガッキー”にも通じる輝きを放つ

  3. 8

    渋野日向子の今季米ツアー獲得賞金「約6933万円」の衝撃…23試合でトップ10入りたった1回

  4. 9

    12.2保険証全面切り替えで「いったん10割負担」が激増! 血税溶かすマイナトラブル“無間地獄”の愚

  5. 10

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?