抗菌薬が効かない「耐性菌」の拡大を防ぐために心がけるべきポイント
こうした耐性菌の中で、感染で人を死亡させる原因になるケースが多いのが、「大腸菌」「黄色ブドウ球菌」「肺炎桿菌」「肺炎レンサ球菌」「アシネトバクター・バウマニ」「緑膿菌」の6種類。
とりわけ致命的なのが、メチシリンやマクロライドなどの抗生物質に対する耐性を持つ「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」(MRSA)だ。
手術後などに傷口での院内感染を引き起こす原因の100%近くがMRSAといわれ、抵抗力が落ちている患者に感染すると、敗血症や肺炎などの重症感染症を引き起こす。
「耐性菌の発生は抗菌薬を使えば使うほどリスクが上がります。そのため、大学病院や大規模な総合病院などでは、抗菌薬の使用を厳しく管理しています。どの細菌に対してどの抗菌薬をどれくらい使えば効果があるのか、患者さんの血中濃度などをモニターしながら判断します。体格に合わせて量を調節したり、状況に応じて薬の切り替えも行います」
問題は、こうした管理が行われることなく、安易に抗菌薬が使われるケースが少なくないことだ。風邪をひいた時、抗菌薬を出してもらうために近所のクリニックを受診する人は多い。