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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

いまも残る天然痘のリスク 日本は種痘を備蓄しているが…

公開日: 更新日:

 天然痘は種痘によって制圧され、1980年にWHO(世界保健機関)が根絶宣言をしました。しかし病気としての天然痘は消滅しましたが、天然痘ウイルスは、いまなお存在し続けています。

 根絶宣言のあとも、各国が研究用にウイルスを保有していたため、WHOが中心になって廃棄が進められました。しかしアメリカと旧ソ連(ロシア)は従わず、現在も保管し続けています。公式には、アメリカとロシアの各1カ所の研究機関が保管していることになっていますが、1991年のソ連崩壊の混乱で、ウイルスが研究者とともに第三国に流出したといわれています。

 2001年の9.11テロの翌年、アメリカのブッシュ大統領(当時)が、国民の希望者全員に種痘を実施することを決定しました。天然痘によるバイオテロを警戒したためです。

 その動きを受けて、日本のいくつかの公的研究機関が、国民に種痘の効果がどれだけ残っているかを調査しました。日本では1976年まで種痘が義務化されており、それ以前に生まれた人は、肩に瘢痕(はんこん)が残っているはずです。2005年の時点で、種痘接種者の80%以上がまだ十分な抗体を持っていることが示されました。予防効果には、血液型はほとんど影響しないことが分かっていますから、A型やAB型の人も安心してよさそうです。

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