高齢者の腰痛では漢方薬の「八味地黄丸」がよく使われる
前述の通り、八味地黄丸は8種の生薬が含まれていますが、その中から桂皮と附子を除いたものが六味丸です。桂皮と附子は、体を温め新陳代謝を促す働きがあるため、「ほてり」や「のぼせ」の症状がある方の腰痛には、六味丸を使うケースがあります。
また、八味地黄丸に牛膝(ゴシツ)、車前子(シャゼンシ)を加えた10種類の生薬から成るものが牛車腎気丸です。牛膝と車前子はどちらも利尿作用や鎮痛作用が強く、下肢の冷えやしびれのある腰痛に用いられています。
八味地黄丸、六味丸、牛車腎気丸は、いずれも体内に不足しているものを補う作用によって効果を発揮すると考えられています。加齢によって衰えた腎を補って症状を改善するのです。
漢方薬は長期間服用しないと効果を得られないという意見も耳にしますが、一般的に構成生薬の種類が少ない製剤については即効性があるとされています。どのタイプの漢方薬が自分に向いているのか──。悩んだら症状や体質を薬剤師に伝え、気軽に相談してみてください。
次回も腰痛に使われるほかの漢方薬についてお話しします。