なぜ紫外線は年々強烈になるのか、どんなリスクが潜んでいるのか?
このところ熱中症ばかりが注目されているが、強烈な紫外線に辟易している人も多いのではないか。紫外線とは「紫色よりも波長が短く、目に見えない光線」のこと。目に見える光に比べてエネルギーが強く、化学反応を起こしやすい。そのため、皮膚に当たると色が黒くなったり、目の角膜に炎症を起こしたりする。紫外線はなぜ増えていて、どのような毒性があるのか。改めて専門家に聞いた。
「地上に降り注ぐ紫外線の量は年々増え、その危険度は増しています」
こう言うのは紫外線による光老化のメカニズムの解明などを研究している鈴鹿医療科学大学薬学部の平本恵一助教だ。
「気象庁は1990年代初めに国内3カ所(札幌、つくば、那覇)で紫外線量を観測していますが、1990年の観測開始以来、札幌とつくばでは増加し続けています。つくばでは10年間に4.3%増加していると報告しているのです」
紫外線増加の原因はかつて、地球を取り巻くオゾン層の破壊にあるといわれた。オゾン層は太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収し、生物を守る働きがある。ところが、冷媒、洗浄剤、発泡剤などとして広く利用されていたフロンガスは、環境中に放出されると成層圏に到達。そこで強い紫外線を浴びると塩素を放出し、オゾン層を破壊したとされてきた。しかし、世界的なフロンガス規制で1990年以降オゾン層は回復している。なぜ紫外線量が増えているのか?