中高年を自殺に追いやる3つの要因と解決法 企業危機管理のプロが教える
■経営者に学ぶ
「頭の柔軟性の欠如」「粘り強さの欠如」「強迫観念」。中高年を自殺の入り口まで導くこうした難題の善処策はあるのか。
田中氏はそのヒントは経営者の立ち居振る舞いにあると言う。
「中小企業の経営者はさまざまなリスクを背負って働いています。中には行き詰まり、自殺一歩手前という経営者もいます。そんな経営者の幾人かから、『苦悩から逃れるためにできるだけ若い人と話をするよう心がけて生きる力をもらっている』と聞きました。頭に自殺の2文字がよぎった人はなるべく若い人たちに会うことです。闊達に話し合う喜びを感じることです。さらに相手が何を考えているかを知り、同時に若いエネルギーを吸収すればいいですね」
そう語る田中氏自身も企業経営者のひとり。さまざまな難題に遭遇すると回答を見いだすために部屋に閉じこもり、何日も考えることも少なくない。それでも、行き詰まったときは自ら若いグループに飛び込み、心を開いて会話をするという。
そうしたチャンスに恵まれない人は、若い子がいる飲食店でバカ話をしながら、解放感を味わうことも選択肢のひとつである。また田中氏は、自死を選択する人についてはこう警告した。
「まず、『立ち止まれ』と言いたい。もう一度現実を直視し、死んだら家族がどうなるのか、そして勤め先など周囲にいる親しい仲間たちの笑顔を思い浮かべてほしい」
経営者の中には自分の大切な人がいつもそばにいて、あなたの行動を優しく見守ってくれていると考え、行動している人もいる。それもまた、極端な行動を取り、自分を最後まで追い込まないための手段なのかもしれない。