脳梗塞による左麻痺が起こった原因は隠れた膵臓がんだった
Bさんは点滴治療を受けながら、麻痺が良くなってくれることを祈りました。奥さんはコロナのこともあってか付き添いはできず、夜遅くに帰されました。翌朝になっても、なかなか手足の動きが良くなってきません。採血が行われ、点滴は続けられました。午前11時ごろ、担当医から「肝機能も良くないので、肺や体の方も調べましょう」と言われ、肺と腹部のCT検査も行われました。
午後になって、看護師から「先生が説明したいと言っています。奥さんは来られていますか?」とたずねられました。その後、担当医がやって来て、「奥さんも一緒に説明しますが、よろしいですね。血液の凝固に異常があります。これはBさんの今日のCT画像ですが、膵臓がんがあります」と告げられました。
Bさんは、一瞬、何かの間違いではないかと思いました。
「私は左半身が麻痺しているんだ。膵臓がん? いったいなんのことだ」
担当医の説明では、大本に膵臓がんがあり、このがんの合併症で血液の凝固能が高進し、血が固まりやすくなったことで脳血管の血栓塞栓症が起こり、左不全麻痺を起こしたというのです。Bさんも奥さんも、ただ「よろしくお願いします」と言うほかありませんでした。