悪性リンパ腫と闘う若者は友人の死に泣きながらギターを弾いていた
がん拠点病院では、緩和ケア病棟が設置されている施設も増えていますが、多くの一般病院では「治療」も「緩和」も「看取り」も同じ病棟です。平均の入院期間が今よりもずっと長い時代のある病院でのお話です。
がんが再発し、入院を繰り返すと顔見知りになり、若い患者同士は親しくなっていきました。まだスマホもない時代ですが、退院しても病院以外の場所で連絡し合っていたようでした。
深夜、親しくなった患者同士がこっそり病室を抜け出し、階段のフロアで話し込んだりしている現場も目にしました。
特に亡くなる患者がいると、自分も短い命ではないか不安が重なって、それがさらに患者同士の親密さを増していたのかもしれません。
A君は悪性リンパ腫で、若者のがん患者仲間でも年長者でした。色黒で体格もよく、とても優しい青年でした。ギターが得意で、病室に持ち込んでいました。昼間は時々、廊下で音が出ない程度にギターを爪弾いていました。
同じ病棟のB子さんは急速に進むタイプの悪性リンパ腫でした。3回目の入院の時、B子さんは担当のD医師に言いました。