定年退職後に若年の60代で認知症になりやすいタイプは?
認知症リスクは糖尿病や高血圧など生活習慣病との関係が深いと考えられています。定年後、60代といった比較的若年で認知症になる患者さんは、現役時代に、十分な睡眠時間が取れていなかったり、食生活が乱れていたり、血管や神経にダメージを与え続けている生活を送っているケースが多いと感じます。
たとえば、アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が減っていってしまい、正常な脳の働きが失われていきます。糖尿病の患者さんは健康な人と比べ認知症リスクが2倍ほどになります。糖尿病ではAGEs(糖化最終生成物)という物質が大量に蓄積します。AGEsは体内に活性酸素を排出し、神経細胞を変性させます。活性酸素はからだをサビさせる老化の原因であり、認知症に限らず万病のもとです。
また、歯周病の患者さんも認知症を発症する確率が高いことが分かっています。九州大学の研究チームは、歯周病菌を投与したマウスはアルツハイマー型認知症において増加するアミロイドβが10倍近くも増えたと発表しています。
そして、現役時代のストレスも関係します。人間の脳は、ストレスがかかるとノルアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質が放出され、神経が興奮状態になります。退職時の役職が部長クラスという人は、社長や役員クラス、そして万年平社員と比べ、退職後の平均余命が短いといった話を聞いたことがあります。上司と部下の間で追い詰められストレスが多い立場の人は、神経に負荷がかかっており、これもまた認知症のリスクが上がる可能性があります。