「スマホ」の使い過ぎで認知機能が低下するのは本当なのか
近年、長時間にわたるスマートフォンやIT機器の使用で、脳の認知機能が低下する患者さんが増えているといわれます。
「デジタル(スマホ)認知症」とも呼ばれ、症状は加齢による認知症と同様、人の名前が出てこなかったり、物忘れの頻度が高くなったりします。私のクリニックにも、3カ月に1件程度ですが、20~50代のビジネスマンが「仕事中のミスが増えた」「頭がボーッとする」などとデジタル認知症とみられる症状を疑って相談に来られます。
現時点で、スマホやデジタル機器が認知機能を低下させることを裏付けた研究論文はありませんが、仮説は成り立ちます。
たとえば、かつて、スタンフォード大学が「勉強しながら音楽を聴いたり、マルチタスクをすると脳に負担がかかるため、記憶力のパフォーマンスが、下がる可能性がある」と研究報告をしています。
また、脳血流シンチ検査(脳の血流の異常を検出し、脳血管障害や認知症などの鑑定をする検査)を行っていて、スマホなどのデジタル機器を触っていると脳の血流が低下し、前頭葉に負荷がかかって脳の機能が落ちるとの報告もあります。