睡眠時間が乳がんの危険度に関係 メラトニン分泌の減少が原因か
「発症者の平均年齢も着目すべきところで、長時間群では64歳だったのに対し、7時間未満と7~8時間の2群が58歳と、若かったのです」
乳がん、前立腺がんに限らず、睡眠時間が短いとがんの発症リスクが高くなりそうだ。
マウスにがんを注入し、寝不足のマウス、そうでないマウスを比較した動物実験では、寝不足のマウスはがんの成長速度と大きさが2倍に増え、攻撃性が増し、転移も多かった。
2万5000人を対象とした大規模研究では、睡眠時間が6時間以下の人は7時間以上の人と比べてがんの発症リスクが40%増加するとの結果も出ている。
睡眠時間が短いとがんの発症リスクが高くなる理由の一つとして、睡眠時間の不足で、がんと闘う免疫細胞が減り、免疫機能が低下。逆に、がんを促進する慢性炎症、細胞ストレス、血管新生に関連する遺伝子に影響を与え、交感神経が過活動になり、副腎皮質から分泌されるホルモンのひとつ、コルチゾールが過剰に分泌されるーーと考えられている。
ただし、睡眠時間が長すぎるのも良くないかもしれない。88~92年の5年間に、全国50地域で40~79歳の男女約11万人を対象にアンケート調査をし、さらに97年末まで追跡調査。生活習慣別の死亡率を分析した結果がある。
「男女とも睡眠7~8時間の群が最も死亡率が低く、これより短くても長くても死亡率が高くなるとの結果でした。特に9時間以上の睡眠の群はがんの死亡率が高く、1.2倍以上でした」
ほどよい睡眠時間を確保しよう。