気圧や揺れが影響する「高層階症候群」は本当にあるのか
建築と健康の関係で、対策が立てられているのは「室温」と「換気」ぐらいです。しかしかなり以前から、超高層ビルやマンションが健康に及ぼす影響について、さまざまなウワサや臆測がささやかれてきました。主に高層階の住民からの訴えなので、「高層階症候群」などと呼ばれています。
耳に違和感を覚える、頭痛に襲われやすくなった、という人が多いようですが、それらは「気圧」の影響と考えられています。気圧は10メートル当たり1hPa(ヘクトパスカル)減りますから、40階建ての超高層マンションの最上階(約150メートル)は地上から15hPaも低いことになります。台風などの気圧変化で自律神経が乱れ、頭痛や喘息発作が起こるのを「天気病」と言います。それと同じ現象でしょう。
同様に、関節痛や関節リウマチも天気と関係しており、気圧が低下すると痛みが増すといわれています(天気痛)。高層階の住民の中にも、関節の痛みを訴える人が多いといいますから、やはり気圧と関係しているのかもしれません。
他には子供の精神的な発達に悪影響を及ぼすとか、高層階の子供は学校の成績が伸びないといったウワサが散見されますが、支持者は少ないようです。しかしインターネットで海外の書き込みなどを調べてみると、高層ビルの上階は精神的なストレスが大きいため、うつなどの原因になるといった意見が少なくありません。